総務省のアクション・プランでどう変わる 携帯料金値下げ

総務省は10月27日にモバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プランを公表しました。

分かりやすく、納得感のある料金・サービスの実現

事業者間の公正な競争の促進

事業者間の乗換えの円滑化

携帯料金の値下げを目指して3本の柱で成り立っています。

消費者からすれば料金の値下げは大歓迎ですが端末値引きを2万円上限ににした事例があるので筆者は総務省が乗り出すと「余計に高くなるのでは?」と懐疑的です。

しかし今回のは内容をよく読むと方向性がまとまってきたとも考えられます。

 

総務省のアクション・プラン

こちらの記事を見てくださっている方はITリテラシーが高い方が多いかと思いますが、世の中それほど高くないのも事実なのですよね。

キャリアでの販売方法も分割で2年後に返却で安くなるとか、家族で契約すれば安くなるとか、詳しくない方から見れば「お得」に見える料金表になっています。

スマートフォンはそこそこのノートパソコンが購入出来るぐらいの価格になっているものも多く2年間「リース契約」みたいなものでこの売り方はいかがなものかと感じる事が多いです。 ちなみに「スマホおかえしプログラム」などの2年後に端末を返却する方法では端末が壊れていたり水濡れなどがあると返却時に20,000円(税抜)を取られます。

総務省のアクション・プランを詳しく見て行きたいと思います。

 

分かりやすく、納得感のある料金・サービスの実現

通信料金・端末代金の完全分離

これは反対をする意味は無いぐらい是非やっていただきたい。

と言うか現在の3大キャリアのプランはこうなってますよね。

完全分離の言葉から見るとどこまでの分離を目指しているのかが気になりますね。

 

誤解を与える表記の是正(「頭金」問題等)

これはなぜ今まで野放しだったのか不思議なぐらいの問題なので大歓迎です。

販売店が端末価格に上乗せする「手数料」を「頭金」と表示するなど分かりにくいですよね。

これはキャリアの販売店のあり方が問題だったのですが、キャリアは店の名前が「DoCoMo]などになっていても実際に販売しているのは代理店がほとんどで直営店は少ないです。

代理店は回線契約をしてもらえるとドコモなどからお金がもらえるわけですがその際に「頭金」と称して「手数料」を取っているわけです。

代理店のあり方が問われる問題ですが(利益が減る恐れがある為)消費者から見ればやって欲しい措置です。

 

消費者の一層の理解促進(ポータルサイト構築)

料金プランの変更や契約先を乗り換える手続きなどをわかりやすく解説するポータルサイトを年内に設ける。

これは賛成ではありますが「どこまで周知されるか」が問題ですね。

ガジェット好きな方やこの記事を見て下さっている方は「そんなサイトが出来るんだ」と見に行くかもしれません。

しかし乗り換えを検討していない方や、ポータルサイトの「存在」を知らない方は見に行くことは無いでしょう。

キャリアのショップなどで告知するなどで「存在」を知るかもしれませんが不利な情報だと思えば気づかない場所に設置される事が非常に高いです。

料金表なども不利な情報は※印で小さく書いてありますよね、アレと同じ扱いになる事が予想できます。

 

中古端末を含めた端末流通市場の活性化

新品のスマートフォンが欲しいけど安く済ませたい方には中古のスマートフォンの「程度」や「状態」は気になります。

「民間事業者団体による認証制度の取組の支援や、中古端末の SIM ロック解除の促進等に取り組む。」とあります。

これは良いのでは無いでしょうか。

SIMロックがかかったままの端末では別のキャリアでは使い物になりません。

しかし問題はSIMロックだけでは無いと思うのですよね。 自社の電波しか掴まない「バンド縛り」も存在してますので電波を掴むことが出来なければ意味がありません。

キャリアがいきなりSIMフリースマートフォンを売り出すのも難しいでしょうし、iPhoneやGoogleのPixelなどはSIMロックがかかっていてもバンド縛りはありません。

Xperia 10 IIを例に出すとドコモのXperia 10 IIは「SO-41A」と型番があります。 10月1日に発売されたSIMフリーのXperia 10 IIは「XQ-AU42」の型番になります。

ドコモの「SO-41A」は当然ですがドコモの電波は全部掴みます。 しかし、ソフトバンクで重要なバンド8とauで重要なバンド18が使えません。

SIMフリー版の「XQ-AU42」はどこのキャリアでも電波が掴めるように対応バンドが広いです。

国内メーカーはキャリア依存が大きくキャリアに合わせてバンド縛りをしています。

この「バンド縛り」から始めて欲しいですね。

iPhoneなどはメーカーのAppleの方が力が大きく個別にバンド縛りなんてしません。 SIMロックはかかっていますが一括払いなら即時解除も可能です。

SIMロック解除もオンラインならお金はかかりません。 ただ中古だと現在ではソフトバンクとワイモバイルのみ店頭で本人確認書類と手数料3300円が必要です。

「中古端末の SIM ロック解除の促進等に取り組む」とあるのでそこは期待したいですね。

今日、イギリスではSIMロックされた携帯電話端末の販売を2021年12月から禁止することを発表しました。

日本もこうなって欲しいですね。 バンド縛りも無しの方向で!

 

事業者間の公正な競争の促進

データ接続料の一層の低廉化(3年間で5割減)

格安SIM会社(MVNO)とのデータ接続料を3年間で半分の5割減を目指す。

これは本当に実現可能なのか現時点では「?」がつきますが、実現すれば格安SIM会社での料金が更に安くなるので期待が大きいです。

 

音声卸料金の一層の低廉化

音声料金も安くなれば格安SIM会社でもかけ放題プランがやりやすくなります。

24時間かけ放題のプランは現在はワイモバイル、UQモバイルなどのいわゆるサブブランド以外では日本通信のプランしかありません。

データ接続料の一層の低廉化と合わせたら格安SIMは更に料金が安く、使いやすくなるでしょう。

 

周波数の有効利用の促進

一層の有効利用を図るため、MNO(いわゆるキャリア) 等に割り当てられた周波数の有効利用を検証し、今後の割当ての方策について検討する。

これは特に「楽天モバイル」に必要な措置だろうと思われますね。 もちろん5Gの普及によることが大きいのですが。

楽天モバイルについては深くは書きませんが「ヤバイ」状況です。

バンド3しか自社には無くKDDIのローミングに頼っているのが現状ですが人口カバー率70%を超えると両社で協議してローミングを終了するか継続するかの協議をする事になっています。

10月22日に東京、大阪、奈良の一部エリアでKDDIによるローミングが終了しました。

終了したエリアでは「繋がらない問題」が多発しています。

 

インフラシェアリングの促進

5G 基地局の整備に当たっては、多数の基地局を効率的かつ低コストで設置することが必要になってくるところ、鉄塔等の設備を他人に使用させ、又は複数事業者間で共同使用する「インフラシェアリング」が重要になる。

キャリアの5Gへの投資コストは莫大なものになります。

そのコストのしわ寄せは利用者にかかってきます。

料金の値下げを行うにはキャリアの5Gへのコストを下げるのが一番なので納得のシェアリングですね。

 

事業者間の乗換えの円滑化

行き過ぎた囲い込みの是正(改正法に適合した契約への移行促進)

現在、2年縛りでの違約金は1,000円となっていますが、利用者はそんな期間は端末を新しくするかプランを見直しに行くか、MNP(番号乗換え)しない限り覚えていないですよね。

この辺りは囲い込みの一環ではありますが、1,000円なのでそこまで気にならないのが筆者の意見ですが、1.000円に決まった前の契約のまま使っている利用者への措置ですね。

 

番号持ち運び制度(MNP)の利用環境の整備

これはやって頂きたい。

MNPしようと思うと電話で手続きしようとするとポイントでの引止めがありますからね。

また手数料も来年の4月からはネットで手続きすれば無料になるそうです。

 

キャリアメールの持ち運び実現の検討

10月21日にニュースになった話題ですが、他社に移ってもキャリアメール(〇〇〇〇@docomo.ne.jpなど)が使えるようになるというキャリアメールのMNP化ですね。

ただこれは遅すぎた感が強いです。

昔のガラケー時代ならキャリアメールは重要でしたが現在はGmailなどのフリーメールを使っている方が多くキャリアメールは少数派になります。

それでも17%ぐらいの方には重要なキャリアメールですがキャリアメールの持ち運びの実現にはキャリア同士で転送するためのサーバーを設置するか300円ぐらいでキャリアメールが使えるようにするかになると思います。

後者の300円ぐらいで使えるキャリアメールは実現が簡単ですが総務省の意向には沿わないでしょう。

そうなると「メール転送サービス」になると思われますがキャリアに負担がかかります。

@docomo.ne.jpなどのドメインのとかどうするのでしょうね。

この辺りの調整をどう行うのかが問題になりそうです。

 

SIMロック解除の推進

現在はSIMロック解除も簡単にはなりましたが、これらを認知されていないのが問題らしいです。

いっそのことSIMロックでは無くSIMフリーで販売して欲しいと思うのですが難しいでしょうね。

 

eSIMの促進

eSIMはiPhoneやGoogleのPixelでは実装されていますが物理SIM+eSIMのデュアルSIMに対応しています。

しかしながらキャリアにはメリットが無いためにeSIMには消極的です。

2枚のSIMカードが使えれば1枚は電話専用、1枚はデータ専用など使い分けが出来ます。 もちろん両方とも通話SIMにして会社用とプライベート用などの使い分けも1台のスマートフォンで可能になります。

まぁキャリアとしてはメリットが無いですよね。 なので「物理SIM」で提供しているわけです。

eSIM対応の格安SIM会社はIIJmioのデータ専用か楽天モバイルのRakuten UN-LIMIT V(一応キャリアですが格安SIM扱いを筆者はしています)ぐらいしかありません。

ユーザーにメリットが感じられないのが現状です。 筆者は物理SIM2枚をメインに使っているのでiPhoneをメイン機に出来ないのもこれが大きいです。

またキャリアのスマートフォンはすべて物理SIM1枚しか対応していません。 ここも筆者がSIMフリー機を使っている原因です。

先ほど述べたようにeSIMはiPhoneやGoogleのPixelは対応しています。 せっかくの物理SIMでは無いeSIMをキャリアが実装してくれれば空いた物理SIMに好きな格安SIMを使う事が出来ます。

この辺りは大賛成ですね。

 

固定と携帯のセット割引等の検証

ドコモ光とかありますよね。

セットだと安くなるので一気に光回線が広がりましたが「縛り」になっているのも事実です。

光回線がセットになると簡単には別の光回線に変更が出来ません。

光回線の乗換えは結構大変です。 そのために乗り換えには「〇万円キャッシュバック」などが当たり前になっています。

違約金が大きいのと縛りが3年など長いのも問題です。

総務省では来年の秋以降となっていますが、違約金とキャッシュバックを無くすだけでなく利用者に有利な方向へお願いしたいですね。

端末価格の値引き上限2万円みたいなやり方は止めて欲しいものです。

 

感想まとめ

料金をわかりやすく、乗り換えをしやすくして競争を活発化させるとなりますが、実現が難しいと考えられる部分もありますね。

概ね大歓迎な部分が多いですがキャリアメールのMNP化は難しい部分も多そうです。

サーバーをわざわざ設置するのでしょうかね。

しかし期待できる部分も多かったです。

データ接続料の一層の低廉化(3年間で5割減)、音声卸料金の一層の低廉化などは格安SIMが安く使いやすくなるのが見えてきます。

ワイモバイル、UQモバイルでは既に20GBのプランを打ち出してます。

キャリアで安くして欲しいのですがサブブランドで「追加プラン」を出して来ています。

ドコモの動向が気になりますが11月5日の発表会で何かプランを出してくれるのでしょうか?

12月1日にドコモの完全子会社化が完了するのでそれ以降に政府の要請に対する回答が得られる方が高いと考えます。

ドコモがOCNモバイルONEをサブブランド化して新プランを出して来たら何も現状変わらないでしょう。

20GBなのも引っ掛かります。 政府の言う容量が20GBだったのでその答えなのでしょうが、、、

家にWI-Fi環境が無い一人暮らしの方以外は月のデータ使用量は7GB以下が一番多いです。 全体の80%を占めます。

3GB、6GBのプランが一番需要のあるプランになるので現在の階段状に使ったデータ量で料金が変わるキャリアのプランの見直しが一番重要でしょう。

プランはシンプルに2つになっていますが、使い放題(30GB/月、キャンペーンで60GB/月)か階段状で使ったデータ量で料金が変わるプランになりますが安いプランでも5GBを超えると使い放題と価格は変わりません。 価格も大きく書いてあるのは家族割など適応した価格なので分かり辛いですがこれはこの先修正されて行くと思われます。

筆者は7GB/月で2,980円ぐらいが妥当と考えます。 (家族割や光回線の抱き合わせは無しで)

ドコモが先陣を切ってこのようなプランを出してくれれば良いのですが難しいでしょうね。

収益が落ちるために大容量プランを売りたい、けれど政府の要望に応えないといけないので仕方なしにサブブランドで20GBコース作りました!って感じですね。

また、端末価格の値引き上限2万円を撤廃してくれた方がユーザーは嬉しいと思うのですが、今さら振り上げた拳を降ろすような事は無いでしょう。