2021年5月6日、本日ソフトバンク株式会社は楽天モバイル株式会社および楽天モバイル元社員に対して訴訟を起こしたと発表しました。
元社員がソフトバンクに在籍中に持ち出した営業秘密の利用停止および廃棄、約1,000億円の損害賠償請求権の一部として10億円の支払いを求めています。
ソフトバンク、楽天モバイルと元社員を提訴
ソフトバンク プレスリリース 楽天モバイルと楽天モバイル元社員に対する訴訟を提起 1,000億円規模の損害賠償請求権を主張 URL
事件の経緯
ソフトバンクから楽天モバイルに転職した元社員（2021年1月12日に逮捕）がネットワーク技術に関わる情報を不正に持ち出していた事件。
2019年末にソフトバンクを退職してその後、楽天モバイルに転職。
退職申告から退職するまでの期間にネットワーク技術に関わる情報を不正に持ち出していた事が20210年2月に判明。
元社員の持ち出したネットワーク技術は4Gおよび5Gネットワーク用の基地局設備や、基地局同士や基地局と交換機を結ぶ固定通信網に関する技術情報。
個人情報や法人の顧客情報などは持ち出されていない。
2021年1月12日にプレスリリースで発表。
ソフトバンク プレスリリース 楽天モバイルへ転職した元社員の逮捕について URL
この時点で楽天モバイルが持ち出した情報を何らかの形で利用している可能性が高いと認識。
持ち出した情報の利用停止と廃棄を目的とした民事訴訟を提起する予定としていた。
訴訟概要
元社員がソフトバンクに在籍中に持ち出した営業秘密の利用停止および廃棄、約1,000億円の損害賠償請求権の一部として10億円の支払いを楽天モバイル株式会社および楽天モバイル元社員に対して求めています。
また請求額は今後1,000億円規模に拡張することがあるとの事。
この訴訟提起に先立ち、当社は、東京地方裁判所に対して、2020年11月27日付で、楽天モバイルに対する証拠保全申立てを行い、同年12月10日付で同社に対する楽天モバイル元社員が当社から持ち出した営業秘密の利用停止などを求める仮処分命令申立てを行っています。また、当社は、同裁判所に対して、2021年1月15日付で、楽天モバイル元社員の資産を対象として仮差押命令申立てを行い、同年2月8日付で、同人に対する同人が当社から持ち出した営業秘密の利用停止などを求める仮処分命令申立てを行っています。
当社は、当社が営業秘密として上記手続において証拠保全を求めていた電子ファイルが、楽天モバイルが業務上利用するサーバー内に保存され、かつ、他の楽天モバイル社員に対して開示されていた事実を確認しています。なお、楽天モバイルは、これらの電子ファイルについて裁判所および当社に提出後、全て廃棄したと主張しています。
よって、当社は今回の訴訟を通じて、楽天モバイルが同社の不正競争を通じて不当な利益を得て当社の営業上の利益を侵害したこと、また、当該不正競争により建設された基地局等が存在することを明らかにすべく、不正競争防止法に基づき下記の請求を行います。
- 楽天モバイルおよび楽天モバイル元社員に対する損害賠償請求（不正競争防止法第4条）
- 楽天モバイルの不正競争により建設された基地局の使用差止請求（同法3条1項）および廃棄請求（同法3条2項）
- 楽天モバイル元社員が当社から持ち出した電子ファイル等の使用・開示差止請求（同法3条1項）および廃棄請求（同法3条2項）
引用：ソフトバンク プレスリリース 楽天モバイルと楽天モバイル元社員に対する訴訟を提起 1,000億円規模の損害賠償請求権を主張 URL
楽天モバイルの声明
本日、ソフトバンク株式会社より楽天モバイル株式会社（本社：東京都世田谷区、代表取締役社長：山田 善久）に対して、訴訟を提起したことが公表されました。
本件について当社では社内調査を実施してきておりますが、ソフトバンク株式会社の営業秘密を当社業務に利用していたという事実は確認されておりません。
当社では訴状の送達を受け次第、内容を精査の上、裁判において当社の正当性を主張してまいります。
引用：楽天ニュース 当社に対する訴訟の提起について URL
感想まとめ
楽天モバイル側は戦う姿勢みたいですね。
ソフトバンクの「証拠保全を求めていた電子ファイルが、楽天モバイルが業務上利用するサーバー内に保存され、かつ、他の楽天モバイル社員に対して開示されていた事実を確認しています」に対してどう反論するのでしょうか？
楽天モバイルから見れば喉から手が出るほど欲しい情報でそれを利用していないってどうやって証明するんでしょうか。
なんか泥沼化しそうな事になりそうですね。
裁判所がソフトバンクの持っている情報をどのように判断するかで大きく変わりますがプレスリリースに書くぐらいですから「確かな情報」な気がします。
長い裁判が始まりそうです。