Epic Gamesの「フォートナイト」をめぐり戦いはどんどん泥沼へ突入しています。
AppleとGoogleはApp StoreとPlay Storeから人気ゲームである「フォートナイト」を削除しました。
Epic Gamesはこれに対してAppleに訴訟を起こしています。
そしてAppleは「報復」とも言える行動に出ました。
Appleは「2020年8月28日までに問題が解消されない場合、iOSデバイス上でアプリを配布したり、Appleの開発者ツールを使用したりするために必要なメンバーシップである『Apple Developer Program』からEpic Gamesを排除する」とEpic Gamesに通達してきたとのこと。
もう泥沼です、、、
この問題について経緯と考察をしたいと思います。
Apple App Storeからフォートナイトを削除
事件は2020年8月13日から始まった。
8月13日にスマートフォン版「フォートナイト」がApp Storeから削除される。
理由はアプリ内購入についてのガイドライン違反。
数時間後にGoogleも「フォートナイト」をGoogle Play Storeから削除。
フォートナイト
サードパーソン・シューティング、バトルロイヤル ゲームで近年人気のゲーム。
荒野行動、PUBGなどが同じジャンルです。
プラットフォームは今回問題になっているモバイル(iOS、Android)の他にPC(Windows、macOS)、PlayStation 4、Xbox One、Nintendo Switchがある。
登録ユーザーは3億5000万人以上。
次世代ゲーム機のPlayStation 5とXbox Series Xに対応予定。
Epic Gamesの対応
8月13日 Appleを独占禁止法上の訴訟を提起。
同日、Googleに対しても訴訟を提起。
またIBMがコンピュータ業界を独占していると批判しているAppleの1984年のCMをパロディ化した映像を流しています。
皮肉ですねAppleが 当時のIBMと同じ立場になり、フォートナイトのキャラクターが当時のAppleの立場になりスクリーンを壊しています。
どうしてこうなった?
問題は8月13日に「フォートナイト」の課金方式の変更から始まります。
Epic Gamesはアプリストアの支払いシステムを迂回して同社に直接支払いが出来るシステム(Epic direct payment)を「フォートナイト」に実装し、それによりユーザーは20%の割引を受ける事が出来ると述べています。
公式 フォートナイト メガプライスダウン – 最大20%の永久割引
これに対してAppleはアプリ内購入についてのガイドライン違反として「フォートナイト」を削除した訳です。
3.1 支払い
- 3.1.1 App内課金:
- Appのコンテンツまたは機能(例:サブスクリプション、ゲーム内通貨、ゲームレベル、プレミアムコンテンツへのアクセス、フルバージョンの利用)は、App内課金を使用して解放する必要があります。コンテンツや機能を解放するため、ライセンスキー、拡張現実マーカー、QRコードなど、App独自の方法を用いることはできません。App内課金以外の方法で、ユーザーを何らかの購入に誘導するボタン、外部リンク、その他の機能をAppやメタデータに含めることはできません。
参照:https://developer.apple.com/jp/app-store/review/guidelines/#business 様
つまり課金などのお金はすべてAppleを通すことになっています。
まぁ完全にガイドライン違反です。
Googleも同様です。
アプリ内購入:
- デベロッパーは、Google Play からダウンロードされたゲーム内でプロダクトを提供する場合や、ゲーム コンテンツへのアクセス権を提供する場合、支払い方法として Google Play アプリ内課金を使用しなければなりません。
- デベロッパーは、Google Play からダウンロードされた別のカテゴリのアプリ内でプロダクトを提供する場合、支払い方法として Google Play アプリ内課金を使用しなければなりません。ただし、以下の場合を除きます。
- 物理的な商品のみの支払い
- そのアプリ以外で消費できるデジタル コンテンツに対する支払い(他の音楽プレーヤーで再生できる曲など)
- アプリ内仮想通貨の使用は、その通貨が購入されたアプリやゲーム内のみに限定しなければなりません。
参照:https://support.google.com/googleplay/android-developer/answer/9858738?hl=ja&ref_topic=9857752 様
こちらもAppleのガイドラインと同じです。
問題は30%の手数料と決済がApple一択
AppleとGoogleは手数料として30%貰っている事にあります。
これは以前から言われていた事でアプリストアに登録する事により多くのユーザーがゲームなどが出来ますが30%は取り過ぎだろうと言われていました。
「Apple税」とも言われアプリ開発者にとっては大きな「税金」です
課金がある場合、当然儲けが無いと成り立たない訳ですから30%の手数料を考慮して値段を決めなければなりません。
そうなるとゲームなどで「ゲーム内通貨」などの課金を考えるとユーザーに負担がかかる訳です。
多くの人に遊んでもらうとなると安くしなければならないのが30%の手数料を考慮した金額に設定すると高くなってしまうジレンマになります。
ゲーム内の通貨の購入についてはAppleのサーバーやサービスを使わずに実現可能である事に対して売り切りのアプリと同等の30%が手数料としてかかるのはいかがなものか。
また消費者が決済サービスを選べないのは不自由であり分離して考えるのが妥当だという事です。
そりゃ開発者は頑張ってアプリを作るわけですがAppleは何もしなくても大金が勝手に入ってくるのでやめられませんよね。
当然、Appleが作ったプラットフォームを借りているので手数料を払うのは当たり前なのですが高すぎるのと決済がApple一択なのが問題なのですよ。
Appleの反応
8月13日にAppleはThe Vergeに声明を出しています。
今日、Epic Gamesは不幸な一歩を踏み出し、App Storeのガイドラインに違反しました。このガイドラインは、すべての開発者に等しく適用され、ユーザーのストアを安全に保つように設計されています。その結果、Fortniteアプリはストアから削除されました。Epicは、Appleによるレビューまたは承認されていない機能をアプリで有効にしました。これは、デジタル商品またはサービスを販売するすべての開発者に適用されるアプリ内支払いに関するApp Storeのガイドラインに違反することを明示的に意図したものです。
エピックはApp Storeに10年間アプリを置いており、Appleがすべての開発者に提供するツール、テスト、配布など、App Storeエコシステムの恩恵を受けています。EpicはApp Storeの利用規約とガイドラインに自由に同意し、App Storeでこのような成功したビジネスを構築できたことをうれしく思います。彼らのビジネス上の関心が彼らに特別な取り決めを促すようになったという事実は、これらのガイドラインがすべての開発者に平等な競争条件を作り、すべてのユーザーにとって安全な店を作るという事実を変えません。Epicと協力してこれらの違反を解決し、FortniteをApp Storeに戻すことができるようにあらゆる努力をします。
参照:https://www.theverge.com/2020/8/13/21366438/apple-fortnite-ios-app-store-violations-epic-payments 様
ガイドライン違反はダメだけど協力するから戻っておいでよ。
そんな感じでしょうかw
しかし8月17日にAppleは急変します。
Appleの報復。
Appleへの訴訟に対してAppleは「2020年8月28日までに問題が解消されない場合、iOSデバイス上でアプリを配布したり、Appleの開発者ツールを使用したりするために必要なメンバーシップである『Apple Developer Program』からEpic Gamesを排除する」とEpic Gamesに通達してきたとのこと。
これを実行されるとEpic GamesはiOSとmacOSでの開発が出来なくなり、さらにはEpic Gamesが提供するゲームエンジンUnreal Engineの配布権限まで剥奪されるのでサードパーティの開発者がUnreal Engineを使えなくなると思われます。
これはちょっと、、、Appleやり過ぎじゃ、、、
Epic Gamesはカリフォルニア州北部地区連邦地裁にAppleの報復措置の差し止めを申し立てています。
もう無関係な人達まで巻き込んで泥沼です。
8月19日 Appleの声明
Epic Gamesを特別扱いはしない。
AppleはEpicが開発者プログラムの一員であることとEpicのアプリがApp Storeに戻る事を望んでいる。
Epicの問題は開発者すべてに平等でありガイドラインに従いアプリを修正するだけの簡単な事です。
AppleはEpicを特別扱いはしない。Epicの利益よりもAppleのお客様の安全を優先するのが正しいと考えています。
お客様の安全って何だろ、、、自由に支払先を選べないのが安全なのかな
もうダメですね。
Appleも強気でEpic Gamesも強気。
Epic Gamesを支持する企業も
SpotifyはテックニュースサイトRecodeのピーター・カフカ氏を通じて、以下のような声明を出しています。
我々はEpic Gamesがアップルと対決する姿勢を示したこと、アップルが独占的地位を乱用していることにさらなる光を当てたことに拍手を送ります。アップルの不公正な行為は、あまりにも長い間、競合他社に不利益を与え、消費者を搾取してきました。消費者とアプリ開発者の大小を問わず、これ以上の大問題はなく、iOSプラットフォームの競争的かつ公正な運営を実現することは、広範囲におよぶ意義を持つ緊急の課題です。
参照:https://japanese.engadget.com/fortnite-spotify-043023265.html 様
そう音楽配信サービスの「Spotify」です。
SpotifyはAppleに対して手数料をめぐり争ってますからね。
Spotifyは音楽配信サービス。
対してAppleは巨大なプラットフォームを持ち自社でApple Musicがあります。
手数料どころかApple Musicがある為にSiriでSpottilyの起動すらさせてもらえない。
Spotifyのタイムラインがすごく分かりやすい。
泣けてくるほどSpotifyは頑張ってたのですね。
しかし応援はするけど参加はしないみたいですw
AppleのSpotifyの主張に対して
FacebookもAppleに対してオンラインイベントを主催してFacebook Liveでイベントをする場合に参加者からの料金支払いにFacebook Payを使う際に問題が起きる。
中小企業やクリエイターを支援するため期限付きではあるもののンラインイベントから手数料を取らずFacebookは100%中小企業に返還するとしている。
Facebookは新型コロナで苦しんでいる中小企業を支援するためにAppStoreの手数料を減らすか企業のコストを吸収できるようにAppleに要請したが却下された。
現在Android版は「Facebookはこの購入費用から手数料を徴収しない」と表示されるがiPhone版では「Appleがこの購入費用の30%を持っていく」と表示される。
FacebookもAppleには批判の態度を示している。
Epic Gamesを考える
上の方に書いたようにモバイル(iOS、Android)の他にPC(Windows、macOS)、PlayStation 4、Xbox One、Nintendo Switchと多くのプラットフォームがあり、それぞれすべてが30%の手数料があるはずも無く、独自に課金システムがある方がユーザーとしては便利で安く遊べられる。
30%の手数料は高すぎる。
ただ、急に独自の課金システムを導入してもAppleの規約違反になるのは知っていたはず。
一番困っているのはiOS、Androidユーザーであるのは明白でこれらのユーザーは「出来ないなら他所へ行く」か「一緒にAppleに対して戦う」となります。
規約に同意しての参入なら文句は言えないはずです。
つまり、Epic Gamesは元々こうなると知りながらユーザーを味方につけ実行した訳です。
Amazon Prime Videoは15%の手数料でAppleと合意しています。
じゃ僕らも15%だよね?って所から始まったのだと考えられます。
フォートナイトだけで4億ドル近くも手数料を払っているEpic Gamesからしたら当然の考えだとは思いますがユーザーを巻き込んでのやり方はどうかと。
30%が高いと思うなら他にやり方があったはずです、ユーザーのためにと言ってますが迷惑しているのはiOS、AndroidユーザーでそのiOS、Androidユーザーを蔑ろにしている。
結局は30%の手数料を減らして利益を増やしたいだけではと勘ぐってしまいます。(お金では無く自由と述べてはいます)
とりあえず今回は折れて、Spotify、Netflixのように同じ境遇の仲間を増やしてから集団で考えたら良いのではと思ってしまうのは日本人的な考えなのでしょうか?
kindleで書籍が購入出来ないのも不便ですし昔から言われてるだけに多く賛同者は見つかると思うのですけどね。
十分なパフォーマンスは得られたのですからiOS、Androidユーザーを戻してあげて欲しいと思います。
やり過ぎな気がしてならないのが筆者の感想です。
「30%の手数料は高すぎる」には同意します。
Spotifyのタイムライン見て思ったのが自社でApple Musicを持つAppleからずっといじめられてきたSpotifyの方が競合サービスなだけにもっと深刻。
Appleを考える
規約違反なので当然の削除。
ここで許せば規約の意味も無くなる。
文句あるならiPhoneで作るな。
規約自体が問題で30%の手数料はやり過ぎでは、、、
追い込むように脅迫に近いEpic Gamesへの通知はやり過ぎを超えている。
しかもサードパーティの開発者まで巻き込んでのUnreal Engineの配布権限剥奪は呆れるばかり。
Epic GamesがAppleの1984年のCMをパロディ化した映像を見て思うのですが、確かに昔のAppleは巨人IBMに立ち向かう勇者の様でしたが今は悪の巨人Appleになってしまったかのようです。
巨大になりすぎるとこうなるのですかね。
昔Appleが沈みかけたところ故スティーブ・ジョブズが会場に多くのAppleファンの前に衛星中継でビル・ゲイツを「提携企業」と言い、会場からはブーイングの中ビル・ゲイツが登場したのは懐かしい話ですね。 ビル・ゲイツは1億5千万ドルの出資とMac用のOfficeソフトの開発を約束したんですよね。
もちろんビル・ゲイツは優れたビジネスマンであるためAppleがこの先伸びるだろうと思ってことだと思うのですが、出資しなければ今のAppleは無かったでしょう。
話がそれちゃいましたが、Appleには昔のような巨人に向かっていくような姿が欲しいですね。
巨大になったが故の今の暴挙に近い姿は見たくないのが感想です。
最後に
本日、8月20日のニュースでAppleの時価総額が2兆ドル(約212兆円)と、とんでもない額になっています。
アメリカの企業では初の2兆ドル突破だそうです。
Epic GamesとAppleですが個人的には「どっちもどっち」と考えてますがAppleの高圧的なやり方は印象が良くないですね。
規約だから仕方が無いと思いますが、30%の手数料は高すぎるのは同意しますね。
Amazon Prime Videoは15%の手数料で「他は30%払ってね!」は不公平だと思います。
8月18日のニュースでこんなのがありましたね。
「App Storeのアプリ審査はユーザーの利益になっていない」とティム・クックCEOに訴えるメールが話題に
開発者の苦労や「いつでもAppleのさじ加減一つで収益の激減」になる事と「App Storeのアプリ審査が大きな力を持ちすぎている」ことが問題なのが良く分かります。
一度Appleから狙われると何度アプリを修正しても審査で落ちのだとか、、、
Epic Gamesもやり過ぎだなぁって思いますね。
Appleの一番の稼ぎ頭みたいですが、不満は理解出来るのですが他にやり方があったように思えてならないです。
結局はAppleが勝つのかなって思います。
やり方はどうであれAppleの独占に一石投じたのは大きかったと考えます。