2020年12月3日に「今後の料金戦略に関する発表会」で発表された「ahamo(アハモ)」はかなり注目されていてインパクトも抜群のプランですよね。
月額が2,980円と「キャリアとしては安く」月のデータ通信量は20GB、超過後のデータ通信速度は1Mbps、5分かけ放題とこれだけでも今までに無いほどの安さです。
今後のキャリアのプランは月額2,980円、20GB、5分かけ放題これらが基準になるでしょう。
キャリアだけで無くMVNO(格安SIM)も基準になります。
格安SIMの老舗である日本通信は翌日に「ahamo(アハモ)」対抗プランである「合理的20GBプラン」を発表して現在、提供も開始されています。
「合理的20GBプラン」は1,980円で20GB(2021年3月までは16GB)、70分/月の通話料込みとなっています。
ドコモは既存プランの「ギガホ」「ギガライト」の見直しを今月中に発表予定です。
しかしドコモは月額2,980円の「ahamo(アハモ)」プランに乗り換えが多くなったら逆に今までよりも利益が減るのは明白です。
そんなドコモの戦略と今後の携帯電話業界を考えたいと思います。
「ahamo(アハモ)」プランから見るドコモの戦略
月額2,980円の「ahamo(アハモ)」プランは下の表の様になります。
※横にスクロール出来ます。
月額料金 | 2,980円(税抜) |
データ容量/月 | 20GB |
月のデータ容量超過後の回線速度 | 1Mbps |
かけ放題 | 5分かけ放題(有料通話0570などは除く) |
ネットワーク | 4G、5G対応 |
データ追加料金 | 1GB/500円(税抜) |
かけ放題オプション | 1,000円(税抜) |
新規契約事務手数料 | 無料 |
機種変更手数料 | 無料 |
MNP転出手数料 | 無料 |
※横にスクロール出来ます。
これだけ見ると優れたプランに見えます。 (実際隙の無いぐらいに優れています)
メリットとデメリットについては下の記事で紹介しています。
2020年12月3日に「今後の料金戦略に関する発表会」で発表された「ahamo(アハモ)」はかなりインパクトの強いプランでした。 月額2,980円(税抜)、容量20GB、5分かけ放題付き、5G対応、超過後の回線速度が1Mbpsなど先行[…]
- 法人は契約出来ません。
- 条件が無い代わりにファミリー割引などが適用されません。
- キャリアメールは無し。
- オンラインのみの受付。 サポートもオンラインのみ。 ただし緊急性の高い盗難、紛失などは電話対応の予定。
大きなデメリットは上の4つになります。
ドコモの契約者数や営業利益
ドコモの2019年度 決算の実績から見ると2019年度の営業利益は8,547億円で2020年の予想では8,800億円です。
参照資料 ドコモの業績 URL
8,800億円の営業利益とは凄いですね。
次に年度事業データから契約者数と平均の月額を見てみます。
2020年度予想の携帯電話サービス契約数は8,104万契約になります。
2020年度予想のモバイルARPUは4,250円になります。
モバイルARPUは5Gサービス、LTE(Xi)サービス、FOMAサービスだけでなくMVNOに回線を貸し出しているのも含みます。
参照資料 事業データ URL
公表はされていませんがドコモの法人契約者数は60%と言われています。
4,860万の契約者数に相当します。
そうなると個人の契約は3,240万の契約者数になります。
ここまでを纏めると下の様な表になります。
営業利益(2020年予想) | 8,800億円 |
モバイルARPU(2020年予想) | 4,250円 |
個人の契約者数(2020年予想) | 3,240万 |
3,240万人の方が全員「ahamo(アハモ)」プランへ移行する事は無いですが移行すると例えると次の計算になります。
減収額=3,240万x(4,250円-2,980円)=約411億円/月
途轍もない金額の減収になりますが、全員が移行すると考えた場合です。
ここまでは法人契約が出来ない「ahamo(アハモ)」プランについて考えてきました。
家族割やドコモ光セットなど各種割引をしていて「ahamo(アハモ)」プランに移行出来ない方を考えます。
現状でドコモでスマートフォンを使っている人の多くは「ギガホ」「ギガライト」が多いと思います。
家族間通話が無料や家族割、ドコモ光セットなどを駆使して月額の料金が安くなります。
「ahamo(アハモ)」プランは月のデータ量が20GBなのでもっと多く使いたい場合はギガホになります。
逆に1GB/月で足りる方は割引を考慮すると1,980円(12/17日時点)とahamoよりも安く済みます。
そして店頭でのサポートもあります。
参照資料 モバイル社会研究所 家族と同じ携帯電話事業者を選択、5割以上 URL
5割以上の方が家族と同じキャリアで契約をしています。
配偶者で見ると80%近くで、子供とは70%です。
中央値で考えると64%になります。
個人の契約者数3,240万の64%の方はahamoに移行するのは難しいと考えられます。
家族割などを考慮しない契約者数は1,166万契約まで減ります。
ここからオンラインのみの契約とサポートを考えると「移行したくても移行出来ない人」を考えます。
参照資料 MMD研究所 調査データ URL
17.5%の方がオンラインで契約をしています。
家族割などを考慮しない契約者数は1,166万なので204万契約まで減ります。
ここで減収額を改めて計算すると
減収額=204万契約x(4,250円-2,980円)=25.9億円/月になります。
年間で310億円程になります。
ここまでで204万契約数の方が移行出来ると計算してきましたが、これはドコモからドコモの「ahamo(アハモ)」プランへ移行出来る数なので実際はもっと少ないと考えられます。
キャリアメール無しや店頭でのサポートが欲しいなど懸念材料は多くあります。
ここまででドコモは既存プランから「ahamo(アハモ)」プランへ移行されても大きな痛手は無いと考えられます。(年間で最大310億円は大きいですが、、、)
他社からの流入も考えて絶妙な価格である2,980円とデータ量20GBを設定しています。
ドコモはこのように「法人契約は出来ない」「各種割引は適応されない」「オンラインのみの受付とサポート」と「囲い込み」はしっかりやっています。
ドコモは既に広告が要らない
これだけ騒がれた「ahamo(アハモ)」プランですから十分に世間には周知されているでしょう。
既存のドコモのプランから「ahamo(アハモ)」プランへ移行すると当然利益は減ります。
しかし他社からの流入が考えられます。
他社サブブランドやMVNOへ流出した顧客などが回線品質の良いドコモへMNPする事が考えられます。
当然ですが、KDDI、ソフトバンクは同じ料金で同じようなプランは絶対に出して来ます。
ですが後出しじゃんけんで2,980円で打ち出した「ahamo(アハモ)」プランはインパクトが強すぎて世間を騒がせたので広告の必要性がありません。
また安さを売りにしている楽天モバイルのRakuten UN-LIMIT Vプランは2020年4月にスタートした第4のキャリアです。
300万人まで1年間無料という大盤振る舞いなキャンペーンをやっていますが、一番多くの人が契約した無料期間が終わるのが2021年3月です。
価格が同じ2,980円になるなら「ahamo(アハモ)」プランへ流れるでしょう。 (2021年3月から提供開始なのは狙っていると考えられます)
楽天エリアならデータ無制限(10GB/日制限はあり)、LINKアプリで通話も無料という強みはありますが、どこでも繋がるドコモと基地局の少ない楽天モバイルとでは勝負になりません。
筆者もRakuten UN-LIMIT Vプランを契約していますが、1年間無料なので契約しているのであってサブのスマートフォンでの使用です。
今後の携帯電話業界
先に述べたように2,980円、20GB、データ通信量超過後の通信速度1Mbps、5分かけ放題が基準になります。
「ahamo(アハモ)」プランの対抗で出した日本通信の「合理的20GBプラン」は1,980円、20GB(2021年3月までは16GB)、70分/月でMVNOの基準になります。
2020年12月3日に発表されたNTTドコモの新プラン「ahamo(アハモ)」は月額2,980円で20GB、5分かけ放題付きとかなり衝撃的なプランでした。 価格や月のデータ容量以外にも他を寄せ付けないほどの利点が多くあります。 […]
今月発表予定のドコモの既存プラン「ギガホ」「ギガライト」の見直しも注目です。
KDDI、ソフトバンクは「ahamo(アハモ)」の対抗プランを出して来るでしょうが、MVNOと楽天モバイルのRakuten UN-LIMIT Vプランはかなり厳しいのでは無いでしょうか?
日本の70%の方は月間のデータ通信量は7GB以下/月です。
これらを踏まえるとMVNOは月額1,980円以下のプランが中心になるでしょうし、10GB以下のプランに力を入れて来るでしょう。
無料通話が無くても980円で7GBなら魅力的では無いでしょうか?
MVNOのほとんどがオンライン契約です。
オンラインで何でも出来るITリテラシーに強い人はオンラインで安くて魅力的なプランに移行するでしょう。
ショップに行く事も無く自分で何でも解決出来る人はオンラインで安く出来るプラン。
逆に店頭でしか手続きが出来ない方は今後、色々な「手数料」が予想できます。
ドコモは「アプリ設定サポート」を開始しています。
これは特定のアプリのアカウントデータの移行や初期設定をサポートするサービスで既に開始されています。
11月19日にNTTドコモは一部のアプリについてアカウントデータの移行や初期設定をサポートするサービス「アプリ設定サポート」を、2020年12月1日から順次、全国のドコモショップで提供を開始すると発表がありました。 とても興味深いサー[…]
今まで自分で何でも解決出来る人には関係ないサポートですが、これからは「人件費」の為に色々な手厚いサポートで「有料化」が進むと思われます。
個人的な話しですが我が家にも楽天エリアがついにやって来ました!
「ahamo(アハモ)」プランが2,980円でキャリアから出てきたのはRakuten UN-LIMIT Vプランのおかげだと思っています。
しかしエリアが広がるか無料期間が伸びない限りは無料期間が終われば解約かMNPするつもりです。
楽天モバイルは気の毒とか言えませんが、楽天エリアならデータ制限無し(10GB/日制限はあり)、LINKアプリで通話無料よりもいつも繋がる方が強いと感じています。
今月の「ギガホ」「ギガライト」の見直しを見てからKDDI、ソフトバンクは手を打ってくるでしょう。
KDDIは2021年1月に予定しています。
各社キャリアの見直されたプランが出そろう2021年3月から本格的な低廉化が進むと思われます。